【1.17食育実践】「おむすび」が結ぶ子供たちの心と記憶~T岡市立M小学校・感動の放送台本~
【放送原稿】給食放送「ミューズ」
本記事は、学校教育における食育の優良事例を紹介することを目的としており、関係者のプライバシーに配慮して掲載しています。
はじめに:給食時間は「物語」を伝える最高の教室

全国の先生方、こんにちは。毎日の給食指導、本当にお疲れ様です。 給食の時間は、単なる栄養補給の時間ではありません。そこは、地域の歴史、感謝の心、そして子供同士の絆を育む「物語」を伝える最高の教室でもあります。
今回は、兵庫県にあるT岡市立M小学校の保健給食委員会が作成した、素晴らしい放送原稿をご紹介します。
テーマは「1.17」。阪神・淡路大震災から31年を迎えるにあたり、「おむすび」に込められた深い祈りと絆を、子供たちが軽快かつ真剣に伝える傑作です。ぜひ、自校の実践の参考にしてください。
実例紹介:T岡市立M小学校「ミューズ」1月16日放送原稿
個性豊かな4人のキャラクター(Kさん、Tくん、Miさん、Maさん)が織りなす、お昼の放送「ミューズ」。この日の放送は、楽しさと学びのバランスが絶妙です。
(BGM:軽快で楽しいオープニングテーマ)
全員:こんにちはー!
Kさん:1月16日、金曜日! お昼の放送「ミューズ」の時間です。
Tくん:よっ! 待ってました! 俺たちの出番だぜ!
Kさん:今日の司会は、私、4年のKと、
Tくん:給食大好き! スポーツも大好き! でも勉強は……あはは! 4年のT!
Miさん:そして、4年のMiと、
Maさん:……あと、4年のMaでお送りしま~す。ふわふわ~。
Kさん:この「ミューズ」という番組名は、ギリシャ神話の「音楽の女神様」という意味と、食事について科学的に考えて楽しもう! という意味が込められているのよね。
Miさん:はい。私たちの体を作る大切な食事、今日も感謝していただきましょうね。
(BGM:少しコミカルな曲へ)
Tくん:よし! 早速今日の献立紹介だ! お腹ペコペコだぜ! 今日のメニューは…… 「セルフおむすび麦ごはん」に「ジョア」! 「サバの塩焼き」! 「高野豆腐入りひじきの炒め煮」! そして「かぼちゃの味噌汁」だっ!!
Maさん:ねぇねぇTくん。「セルフおむすび」ってなに? おむすびが勝手に「よいしょ、よいしょ」って自分で握ってくれるの?
Tくん:えっ!? マジで!? すげーな最近の給食は!
Kさん:ちーがーいーまーす! 「セルフ」は「自分で」って意味! ビニール袋を使って、自分でご飯を握って食べるのよ。
Miさん:それに今日は、5年生のみなさんが調理実習で、お鍋でご飯を炊いておむすびを作っているそうですよ。
Tくん:うおー! 5年生、いい匂いさせてたなー! 俺も食べたーい!
(BGM:少し真面目で温かい曲へ)
Kさん:さて、ここで今日の重要トピックです。今日は「おむすびの日」にちなんだ献立になっています。
Maさん:おにぎりじゃなくて、おむすび? 物は一緒なのに、名前がちがうの不思議~。
Miさん:実はね、明日1月17日は、今から31年前に「阪神・淡路大震災」が起きた日なんです。その時、ボランティアの人たちが炊き出しで作った「おむすび」が、たくさんの人を勇気づけたんだって。
Kさん:そう。「おむすび」という言葉には、神様への願いや、人と人との心を「結ぶ」という意味が込められているの。だから今日は、その助け合いの心を忘れないように、感謝して食べる日なんだよ。
(BGM:アップテンポな曲へ切り替わり)
Tくん:へぇ~、深いなぁ。心を結ぶ、おむすびかぁ。 そういえば! アンケートを見てたら、まさにお家のごはんで「おにぎり・おむすび」が大好きって書いてくれた子がいたぞ!
Maさん:えー、だれだれ~? 私の占いで当ててみようか……むむむ。
Tくん:いや、占わなくていいから!(笑) まず一人目は、1年の O.Aさん! お家のごはんで「おにぎり」が好きだって! 給食のからあげも大好きみたいだね。
Kさん:Aさん、聞いてる~? 今日は自分でおむすび作るから、最高だね!
Miさん:そしてもう一人! 1年の Y.Rさん! Rさんも、お家の好きなごはんは「おにぎり」! メッセージには「おもしろいよ」って書いてくれてます。
Maさん:Aちゃん、Rちゃん、名前呼ばれてびっくりして、おむすび転がさないようにね~。
Tくん:おむすびころりんかよ!
(BGM:クイズの出題音)
Kさん:それではここで、ミューズ恒例! 給食クイズ~!
Tくん:イェーイ! 待ってました!
Kさん:先ほどの話にも出ましたが、「おむすび」という言葉に込められた本当の意味は、次のうちどれでしょう?
① ひもを「むすぶ」という意味 ② 願いが実を「むすぶ」という意味 ③ 人と人の心を「むすぶ」という意味
Maさん:ん~、私は①かなぁ。靴ひも結ぶの苦手だけど……。
Tくん:俺は②! 努力が実を結んで、ホームラン打ちたい!
Miさん:ふふっ、正解は……
全員:③番の「人と人の心を『むすぶ』という意味」でした!
Kさん:災害の時、温かいおむすびが、人と人の絆を強くしたんだね。今日はそんな優しい気持ちを込めて、自分で握ってみましょう。
Tくん:よーし! 俺も心を込めて、最強に美味いおむすびを作るぞー!
Miさん:食事の後は、奥の歯までていねいに磨きましょうね。
Kさん:それでは、今日は金曜日なので、フランス語でお別れです! せーのっ!
全員:À la semaine prochaine(ア・ラ・スメーヌ・プロシェンヌ)! (意味:また来週!)
Maさん:ばいば~い。
(BGM:フェードアウト)
クリエイターの視点:なぜこの放送が子供たちの心を掴むのか
この原稿の素晴らしい点は、「エンターテインメント」と「教育的メッセージ」のシームレスな融合です。
- キャラクターの役割分担:進行役(Kさん)、ボケ役(Tくん)、知的な解説役(Miさん)、癒やし役(Maさん)と役割が明確で、聴いている児童が飽きません。
- 歴史の自分事化:震災という重いテーマを、「おむすび=心を結ぶ」というポジティブな行動に変換して伝えています。
- インタラクティブ性:実際のアンケートを読み上げ、クイズで巻き込むことで、一方通行ではない「参加型」の放送になっています。
明日から使える!愛される食育放送の3つのポイント
- Point 1:BGMで空気を作る 真面目な話をする時は曲調を変える。これだけで、子供たちの「聞く耳」が変わります。
- Point 2:名前を呼ぶ魔法 放送で自分の名前や友達の名前が呼ばれることは、子供たちにとってビッグイベントです。イニシャルでも構いません、児童の声を拾い上げましょう。
- Point 3:最後はポジティブなアクションで 「悲しいことがあった日」で終わらせず、「だから今日は心を込めて握ろう」という具体的なアクションへつなげることが大切です。
おわりに:食を通じて「感謝」のバトンを渡そう
T岡市立M小学校の実践は、給食が単なる食事ではなく、命をつなぐバトンであることを教えてくれます。先生方の学校でも、ぜひこの「心のおむすび」の物語を、子供たちに届けてみてください。
きっと、いつもより少し温かい給食の時間になるはずです。
